カナメ先生
大事な資産を年3~5%で増やす技術を学ぶ場所
ソーシャルレンディング投資の学校
ブログ(1021)掲示板SL事業者ランキングファンド検索運営者紹介ふどクラ研究所

まずは「みんなのクレジット事件」からソーシャルレンディングの危険性を学ぼう

初回:2018年6月4日 | 更新:2022年7月1日 | 執筆:カナメ先生
ここがポイント!
  • みんなのクレジット事件は約31億円が奪い取られる最悪の事件。
  • 気をつけていれば予兆となる情報はいくつかあった。
  • 被害を受けてから提訴したとしても元本回収できる可能性は低い。
  • 延滞発生から約3年経過して賠償命令が下された。
「みんなのクレジット事件」は、ソーシャルレンディング業界における大事件の1つです。約31億円の資金が償還されることなく奪い取られてしまいました。

事件の概要と履歴

2016年4月みんなのクレジットがサービスを開始。代表は白石伸生氏。
2016年10月キャッシュバックキャンペーンや高金利(14.5%)が投資家の注目を集める。成立ローンが15億円を突破。
2017年3月関東財務局より行政処分を受ける。内容は「貸付が親会社グループに集中している」「投資家への返済を他ファンドの資金から充当している」「担保内容が不明瞭」など。
2017年4月代表が「白石伸生」から「阿藤豊」に交代。
2017年7月ほぼ全てのファンドで延滞が発生。
2017年8月東京都産業労働局より行政処分を受ける。
2017年8月みんなのクレジットが「一部の投資家が貸付先に対して直接的回収行動に入った」と発表。
2017年12月みんなのクレジットが貸付先のテイクオーバーホールディングス(代表・白石伸生)に起訴を提起。(自作自演状態)
2018年2月債権回収会社に債権を1億円で譲渡。実質的な未償還決着。
2018年3月テイクオーバーホールディングスが「調整お見舞金」を支払うと発表するが、極めて不審な内容。
2018年3月みんなのクレジットが「スカイキャピタル」に社名変更。
2018年9月AbemaTVが「みんクレ事件」を報道。
2018年12月テレビ東京・ワールドビジネスサテライトが「みんクレ事件」を報道。被害者約80人が年内に損害賠償を求める裁判に踏み切る予定。
2020年6月 東京地裁がみんなのクレジットに「全額の支払いを命じる判決」を言い渡す。支払いは白石氏や関係各社に連帯責任がある。

全体をざっくりと説明します。

みんクレ(白石伸生代表)は「年利14.5%やキャッシュバック」などをアピールし、サービス開始から1年足らずで40億円を越える資金を集めました。

そのうちの約10億円は投資家への返済に使い、残りの30億円は白石氏が経営する親会社グループに融資しています。

2017年4月に様々な問題が発覚し、関東財務局から行政処分を受けます。直後に白石氏の部下である「阿藤豊」氏に代表を変更します。

同年9月には投資家が「みんクレ」に対して起訴を起こします。

同年12月に「みんクレ」が「テイク社(元BWJ)」「ブルーアート」「らくらくプラス」に提訴します。ただし、これは時間稼ぎの茶番にすぎません。白石氏が白石氏本人に提訴しているようなものです。

「裁判を提起したという事実」を作ったうえで、2018年2月に債権回収会社への債権譲渡を発表します。これは事実上の未償還宣言です。

さらに2018年3月にテイク社が「調整お見舞金」を発表します。しかし、受け取るためには「同社に提訴しない」などの条件に同意する必要があるうえ、金額や支払い方法の詳細は明示されていませんでした。

もちろん、調整お見舞金が支払われることはありませんでした。

投資家は何に注意すれば避けられたのか?

今回の事件では

「貸付が親グループに集中していた」
「担保内容が不明瞭だった」
「融資が白石氏個人の借金返済に使われていた」
「投資家への返済に他ファンドで集めた資金が使われていた」
など、信じられないほど悪質な実態が明るみに出ましたが、巧妙に隠されている段階では、よほど慎重な投資家でないかぎり気付くのは難しいと思います。

また、下の画像のように信頼性の高いメディアで取り上げられてしまうと、ついつい油断してしまいます。(決して日経ビジネスが悪いわけではありません)

白石伸生・日経ビジネス

基本的に「投資話というものは常に詐欺の可能性がある」ぐらいに考えておくべきでしょう。

そのうえで「出資者を確認する」「代表の経歴を丁寧に調べる」「1社に資産を集中しない」「他社よりも抜群に条件がよい話は避ける」などの対策を取れば被害を受ける可能性は大幅に減らせます。

白石伸生氏が関わる社名変更の記録

時間をかけて「みんなのクレジット事件」について調べていくと、関係会社の社名変更が多いことに気付きます。頻繁に社名を変更することで、人々や行政を撹乱するのが目的なのでしょう。

スカイキャピタル元みんなのクレジット。
2018年4月に社名と住所を変更。
テイクオーバーホールディングス元ブルーウォールジャパン。
2017年11月に社名変更。
八丁掘投資元スピードパートナーズ。2014年5月に倒産。
白石伸生氏が以前に経営していた会社。

また、みんなのクレジットがサービス開始する約2年前の2014年7月には「こちらのブログ」に「白石伸生氏は計画倒産の常習犯」という記事が載っていました。

投資家の全面勝訴判決

2020年6月30日に東京地裁(森田浩美裁判長)による「全額の支払いを命じる判決」が言い渡されました。ただし、回収は出来ていないようです。

概要
・原告は個人投資家22人
・被告は旧みんなのクレジット(現スカイキャピタル)
・判決までに約3年間の期間を要した
・ソーシャルレンディングに関する集団訴訟では初の判決
・弁護士費用や5%の遅延利息も含む全額の支払い命令(約9,300万円)
・支払いは「みんなのクレジット」だけでなく白石氏や関係各社にも連帯責任がある
・被告側がすんなりと支払いに応じるわけではない(上告の可能性もある)
・判決理由は「実態に反する文言で投資勧誘が行われていた」こと

関連ページ
弁護士の良心(東京フィールド法律事務所・鈴木英司先生)
幸福賢者さんのブログ「みんなのクレジットとの裁判で全面勝訴しました」

当サイトに出来ること

(1) 投資家の労力を肩代わりする。
個人投資家が1つ1つの会社や経営者の背景を丁寧に調べていくことは労力的に厳しいものだと思います。その部分を当サイトが行うことで個人投資家のサポートを行っていきます。

(2) 事件の記録を残しておく。
第三者の立場から事件をできるだけ客観的なデータとして残しておきたいと思います。残しておくことで「詐欺を行いづらい社会」「個人投資家のリテラシー向上」などに貢献できれば幸いです。

関連記事:みんなのクレジット詐欺事件

みんなのクレジット元社長「白石伸生氏」の裁判内容を分かりやすく解説
みんなのクレジット裁判の判決!ソーシャルレンディング業界初の集団訴訟決着
みんなのクレジット詐欺被害者が出来ること
みんなのクレジット掲示板

カナメ先生
この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴8年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
ソーシャルレンディング格付けランキング
リスクの記事一覧

1 まずは「みんなのクレジット事件」を学ぼう
2 3種類のリスク
3 貸し倒れの実態
4 様々な業界の貸倒率を知っておく
5 損失補填はしているのか?
6 金融業の資格があっても安心とは限らない
7 担保の意味と安全性
8 債権譲渡について

一言掲示板 : 情報交換、改善希望、質問など
[4092] カナメ先生(2019-04-01 11:22:09)
> 幸福賢者さん
補足ありがとうございます。
後ほど修正しておきます。
[4091] 幸福賢者(2019-04-01 11:05:08)
よくまとまっていますが一応捕捉。
・AbemaTVだけでなくヤフージャンパンや東洋経済でも報道された
・提訴されたのはBWJ、ブルーアート、らくらくプラス
・アセットカフェが刑事告訴を進めている
・被害者の会は2017年3月26日に私が作った(なゆきち氏ではない)
[2148] カナメ先生(2018-12-18 10:11:59)
ワールドビジネスサテライト、分かりやすくまとまっていました。年内にも裁判に踏み切る予定ということで、みんクレ被害者だけでなく、他サービス(ラッキーバンクなど)で被害にあっている方にとっても注目の裁判です。
ソーシャルレンディング格付けランキング
Twitter