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おすすめ本2冊!「和牛詐欺」「地面師」で詐欺師の手口を学ぶ

投稿日:2019年1月5日 | 執筆:カナメ先生
(本記事はアフィリエイトURLを含みます)
年末年始は「ソーシャルレンディングで危ない事業者を見極める能力を高めるため」に詐欺関連の書籍を2冊ほど読みました。

普段触れることのない情報なので非常に勉強になりました。皆さんも出来ることなら読んでおくことをおすすめしますが、読まない場合でも内容を把握できるように気になった部分を抜粋しておきます。

和牛詐欺 - 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか

和牛詐欺の表紙

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被害額4,200億円の安愚楽牧場事件を中心に、被害額226億円のふるさと牧場、ネット詐欺師、華僑の大物を名乗っていた日本人詐欺師などについて詳しく書かれています。社長や関係者の発言が多く掲載されているため、詐欺師となってしまう人々の人物像を明確に捉えることができます。

下記は抜粋一覧です。安=安愚楽牧場、ふ=ふれあい牧場、他=その他。

破たん直前まで「過去30年間、支払いの減額や遅延はない」とうたっていたため、消費者に与える安心感は強かった。
過去の新聞や雑誌記事を検索しても、安愚楽にとってマイナスとなる報道がほとんどなされていないことも驚きだった。
海江田元経済産業相が広告塔のようになっている資料もあった。
安愚楽が投資家に公開していた決算書を見ると黒字続きになっているが、税務署に提出された資料では平成19年の純資産はマイナス67億円となっていた。つまり、嘘の決算書を公開していた。
相場40万円ぐらいの子牛を50万~60万円で買っていた。理由を聞くと「出資金が集まりすぎてどうしようもないんだ。とにかくなんでもいいから牛を買っておかないといけない」と言っていた。
業界全体に「たかり体質」とでも言うべきものがある。安愚楽はさまざまな理由で誰かに脅されたり、怒鳴り込まれたりすることがたびたびあり、経営陣はその都度、筋の悪い人に頼んで解決してもらう。そうすると弱みを握られて、その人に社内に入り込まれる。
破綻後に経営陣が残ったまま財産処分を行う「清算型民事再生」を選んだことで、債権者に回すべき資産がさらに流出する結果となった。
相田社長は「責任はすべて杉田にある、自分たちは被害者だ」と繰り返していた。
2007年12月5日、著者の記事が配信される。12月20日、警視庁による家宅捜査。12月26日、農林水産省が1年間の業務停止処分を発表。2008年11月7日、社長を含む6人が逮捕される。2010年1月、相田社長に懲役12年の実刑判決。
主犯の1人であると言われる三谷氏は時効を利用して逮捕を免れている。
被害者が信じ込んだ理由の1つは多くの政治家が彼の周囲にいたことだった。
検察が投資詐欺事件に積極的でない理由は「操作経済性の観点から割に合わないこと」と「生命犯と財産犯の違い」が大きい。

これらの抜粋箇所以外にも勉強になる情報が盛りだくさんです。もう1冊の「地面師」とは異なり、こちらは「ダメすぎて様々な問題が膨れ上がり結果的に詐欺師になってしまった」という印象です。

ただし、投資家にとっては「意図的な詐欺」も「結果的な詐欺」も同じことです。むしろ、結果的な詐欺のほうが見破りづらいことも多々あります。

また、ふるさと牧場事件では「早い段階で本人起訴を用いて優先的に出資金を取り返していた女性」が印象に残りました。自分の資産を守るための素早い判断は見習わなければいけません。

地面師 - 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団

地面師の表紙

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被害額55億5,000円の積水ハウス事件を中心に様々な地面師(不動産詐欺師)の手口を紹介しています。和牛詐欺の手口は想像していた通りでしたが、地面師の手口は想像を越えています。彼らに狙われたら回避することは極めて困難でしょう。

1 パスポートや実印を偽造して不動産の所有者になりすまし、それを担保に借金をする融資詐欺がある。
2 ホームレスに住民登録をさせて給料の源泉徴収を取り、4,000~5,000万円の銀行ローンを組ませる詐欺がある。この詐欺は2年間にわたり、大手銀行(みずほ、東京三菱、横浜銀行など)から総額50億円という巨額融資を騙し取った。
3 詐欺師グループには手配師という専門職がいる。手配師は「なりすまし役(主に地主役)」を探す役割である。
4 積水ハウスは63億円をニセ地主に支払い、最終的に55億5,000万円もの大金を騙し取られた。しかも、途中で「積水は騙されている」という内容証明郵便が届いたにも関わらず最後まで取引を進めてしまった。
5 不動産取引で成り上がってきた新興デベロッパーの経営者たちの多くは、広域暴力団とのつながりも深く、同業者同士の付き合いも多い。芸能人やスポーツ選手、政治家のタニマチとして名を馳せる一方、当人の生活が派手になり、事件にまみれるケースも少なくなかった。
6 急に登場人物や関連会社を増やすことは犯行の発覚を遅らせるための常套手段。
7 詐欺師は取引の際に指の腹すべてに透明のマニキュアを塗っておく。
8 杉並区の不動産詐欺事件は不起訴となり幕を閉じた。

こちらはプロ詐欺師たちの話です。裏で絵図を描く大物詐欺師の名前がたくさん紹介されています。私たち投資家にとっても勉強になる内容ですが、金融機関や企業をターゲットにした大型詐欺が多いためソーシャルレンディング事業者にぜひ読んでもらいたい1冊です。

実際にmaneoやSBIソーシャルレンディングの遅延案件は詐欺師の出口(現金化)に利用された感じが否めません。今のところ起きていませんが、ソーシャルレンディング事業者が「なりすまし融資詐欺」に引っかかってしまわないか心配です。

カナメ先生
この記事を書いた人
21歳から投資をはじめて投資歴23年。ソーシャルレンディング歴8年。運用資産4億円以上。
IT会社経営、薬局経営、新築アパート投資、株式投資、REIT投資、クラファン投資などの幅広い経験が武器であり、「凡人なりに出来ることをコツコツと堅実に行うこと」がモットーです。
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