2023年10月30日にパチンコ大手の「ガイア」が民事再生法の適用を申請しました。
グループ7社合計で1,133億円の負債を抱えての倒産となります。
当記事では、ガイアの倒産が、ガイアを融資先としていたバンカーズ「アミューズメント事業支援ファンド」に与える影響について丁寧に解説します。
[参考記事:東京商工リサーチ]
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198107_1527.html
1984年9月 | 設立 |
---|---|
2004年8月 | 100号店オープン |
2006年5月 | 売上高のピーク(約5,853億円) |
2011年5月 | 覚醒剤取締法違反容疑で代表取締役(当時)の渡辺直行が逮捕 |
2012年7月 | 東京国税局の税務調査により約40億円の所得隠しが判明 |
2018年7月 | ガイアの粉飾決算を指摘する文書が取引金融機関などに流された |
2019年12月 | 東京地検特捜部が「大手パチンコチェーンへ捜索に入った」という報道 |
2023年5月 | 売上高の大幅減が報じられる(約1,895億円) |
2023年6月 | 融資型クラファン「バンカーズ」がガイアに約16.7億円を融資 |
2023年10月 | 民事再生法の適用を申請、Jトラストが債権支援に合意 |
覚醒剤、所得隠し、粉飾決算と危険信号のオンパレードです。
バンカーズの融資から約4ヶ月後の民事再生となりました。
ファンド | 募集開始日 | 利回り | 運用期間 | 募集金額 |
---|---|---|---|---|
1号 | 2023年6月24日 | 6.9% | 6ヶ月 | 6.0億円 |
1-2号 | 2023年6月24日 | 7.0% | 9ヶ月 | 2.5億円 |
1-3号 | 2023年6月24日 | 7.2% | 12ヶ月 | 2.0億円 |
1-4号 | 2023年7月09日 | 6.8% | 3ヶ月 | 1.5億円 |
1-5号 | 2023年7月09日 | 6.9% | 6ヶ月 | 1.5億円 |
1-6号 | 2023年7月09日 | 7.0% | 9ヶ月 | 2.0億円 |
1-7号 | 2023年7月09日 | 7.2% | 12ヶ月 | 2.0億円 |
・総募集金額は17.5億円(申込完了金額は16.76億円)
・1-4号の1.5億円は償還済み(全体の運用残高は15.26億円)
・パチンコホール運営事業者への融資で運用するファンド
・募集時から投資家限定情報には「ガイア」の社名が記載されていた
・貸付金利は10.8%(営業者報酬は3.6~4.0%)
物件評価額 | 25.10億円 |
---|---|
アクセス | 千葉みなと駅 徒歩12分 |
専有部分現況 |
借地権付建物 建物構造:鉄骨造3階建(築1年以内) 用途:倉庫、事務所 延床面積:19,899.73㎡ |
エリア環境 | 工場や倉庫等が集積するエリアです。千葉市周辺エリアへのに対する配送ポテンシャルが高く、物流拠点としての立地として優れています。 |
周辺施設 | 周辺はコンビニエンスストア・飲食店・倉庫や工場等見られ、物流拠点としての利便性も高いエリアです。 |
LTVは約61%(15.26÷25.10×100)で余裕のある数値です。
しかし、流動性を加味した場合における物件評価額の妥当性と、借地権の地代(滞納の可能性)に大きな不安を感じます。
募集時より融資先信用リスクは「大」に判定されています。
完全に融資してはいけない決算内容です。
2023年5月期で4期連続の赤字となっています。
ほとんどの意見がネガティブなものでした。
手数料の高さ(3.6~4.0%)にも触れられています。
当サイトの掲示板を見ている方で投資した方は極めて少ないと思われます。
冷静な意見が多いです。
やはり、掲示板ユーザーで大きく投資した方は少なかったようです。
民事再生中であっても、担保権は再生手続外で権利行使が可能です。
つまり、回収ゼロということはありません。
しかし、競売でどの程度の出資金が回収できるのかには不安を感じます。
もちろん、バンカーズとしてはこのような事態を想定したうえでの担保設定(物件評価額)なのだと思います。
LTV61%という数値からも、ある程度の回収率になることが予想されます。
今後のソーシャルレンディング業界全体への投資を考えるうえでも、「アミューズメント事業支援ファンド」の回収率には非常に注目が集まります。
・パチンコ案件
・バンカーズによる融資先信用力は1.1点(リスク大)
・公開されていた決算情報を見ても融資先の危険性の高さは明確
・不動産担保に頼った投資案件
募集時からこのような条件は明確だったため、ガイアの民事再生による驚きはそれほどありません。
ただ、倒産する可能性が高い状態で融資する意味はあるのでしょうか?
「手厚い不動産担保かつ高金利で貸せるチャンス」という見方もありますが、穿った見方をすれば、融資先の資産隠しを手助けしてしまう可能性も考えられます。
高利貸しビジネスとは言え、ソーシャルレンディング業界全体としてある程度の節度は必要だと感じました。
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申し訳ありません。
調べることが多すぎてタイトルの回収ができていませんでした。
私なりの見解を追記しました。
早速教えてくださりありがとうございます。
経営の実態を想像するですね、承知しました!
記事も楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。
リクエストありがとうございます。
後ほど詳しく記事にしたいと思いますが、とりあえず簡単に回答させていただきます。
実際のところは意味を理解したうえで併用するのがベストですが、分からないうちは「連結」優先で見ておけば良いと思います。
私の場合は
・事業内容
・営業利益&純利益
・株主資本
・株主資本比率
・流動比率
などを中心にチェックします。
ただし、単純に数値だけを見て判断するわけではないので、経営の実態を想像することが大切です。
お時間のある時に決算書の読み方を記事にして頂けませんでしょうか?
連結 or 単体のどちらで見るべきかも、正直よくわかっておりません。
お恥ずかしい限りですが、よろしくお願いします!